私は、これまでの「トロ」に不満です。 だから、「トロ」革命。

 

島原慶将
Yasuyuki Shimahara

1973年 高知県生まれ。日本大学理工学部海洋建築工学科卒。2004年マグロの輸入・卸会社「上海帝市食品銷售有限公司」を上海に設立、代表をつとめる。2005年、マグロ専門レストラン「天家」を開業。

「トロ」を専門に、中国を中心とする「東アジア」というフィールドで商いを始めたのには、理由があります。

「トロ」は、これまで「うまいが、高い」商材でした。希少価値が高いからです。でも、私は、それが大いに不満でした。それがために、賞味できるのはごく一部の人だけで、多くの人が、真にうまいトロを味わえないのは、不公平だと感じていたのです。

でも、本当に、「トロ」は高いのが当たり前なのだろうか?売り手側が、希少価値であることにあぐらをかき、安く提供する努力を怠っているのではないだろうか?

私が、「トロ革命」を決心した理由は、ここにあります。

私は、高知のマグロ漁師を父とする家庭に生まれました。小さな頃からマグロが食卓にのぼり、頭から尾までまるまる一体マグロを食べて育ったのです。いわば、私の身体はマグロで出来ている。

その意味で、私のマグロに対する愛は、決して誰にも劣ることはないという自負と誇りがあります。

私にとって、真にマグロを愛するということは、より多くの人に、よりおいしく食べていただけるということに、ほかなりません。

だからこそ、日本を一歩出て、大陸へ踏み出しました。

三つの革命に挑戦することを決心いたしました。

一つめは、価格革命です。

従来のように、売り手側から価格を決定するのではなく、私自身が、これなら自分でも食べてみたいという価格で提供しようと考えました。質において優りながら、価格においてはできる限り安くする。マグロの仕入れから管理、店におけるサービスも含め、やりがいのある挑戦です。

二つめは、食べ方の革命です。

トロは寿司だけが、食べ方のすべてではありません。本来トロは、何も手を加えず生をそのまま口に放り込むだけで、うまいもの。ならば、刺身で食べようではないか。これが、天家の新提案です。そのためには、一つめの価格の安さが、絶対条件です。

三つめは、マグロ文化を伝える革命です。

私たち日本人は、歴史的にも長くマグロを食べ親しんできたことで、マグロ文化を心身で理解しています。とりわけ、トロにおいては日本人のアドバンテージは、とても高い。であればこそ、私は、マグロの魅力を世界に広める伝道者になれると直観しました。中国で、マグロを普及させていく夢を抱きました。  

天家は、舌だけでなく心でも、マグロを存分に味わってほしい。そのために、ホールスタッフの一人にいたるまで、愛をもって、マグロの魅力を全力で伝えていく努力を重ねます。